副鼻腔炎手術療法

副鼻腔炎(蓄膿症)の手術(4つの手術療法)

手術療法1ESS(内視鏡下副鼻腔手術)

内視鏡下副鼻腔手術薬や局所の掃除などの保存的治療で良くならない場合や何度も反復する場合には手術療法が必要となります。10年ほど前までは、副鼻腔の炎症を起こしている粘膜をできる限り剥がすのが良いとされており、結果的に骨の表面が広く露出し副鼻腔の生理的状態が損なわれる事が少なくありませんでした。しかしながら、現在は副鼻腔炎の原因の多くは固有鼻腔(いわゆる鼻の中)にあり、固有鼻腔の病変が改善し、固有鼻腔と副鼻腔間の交通がつけば全ての粘膜を除去するよりある程度保存する方がより生理的状態に近い形で治る考えられるようになりました。また、近年の医療機器の進歩により、肉眼では見えなかった鼻の奥や角度のある部位も特殊な小型カメラである内視鏡を用いることにより手術操作が可能となり、マイクロ・デブリッダーと呼ばれる電気カミソリのような内視鏡用の手術器具も開発されました。このような手術概念や医療機器の変化に伴い急速に普及してきたのがESS(内視鏡下副鼻腔手術)です。

内視鏡下副鼻腔手術従来の手術と比べてESSの大きな利点の一つに手術侵襲が小さい (体に対するダメージが少ない) 事が挙げられます。したがって、従来法が両側で2~3週間の入院が必要であったのに対し、多くの施設でESSは1週間程度の入院で行われています。ただし、内視鏡を用いるから、あるいは手術侵襲が小さいからといってESSが簡単な手術であるというわけではありません。むしろ。モニターに写る平面的な術野を見ながら行う手術であるために従来以上に深い解剖学的知識と豊富な経験が要求される術式とも言えます。当院では病変の程度に応じて日帰りから3日間の入院で施行しております。

従来法(経上顎副鼻腔手術)
術式
歯肉(上唇の裏)部切開、上顎骨の一部をノミで除去、上顎洞を中心として粘膜を極力除去
特徴
術後の痛み、顔の腫れが強い。術後に頬部のしびれ感が残ることがある。出血が比較的多い。入院期間が長い。(両側で2~3週間)副鼻腔が本来の生理機能を失う可能性がある。将来的に膿や粘液が貯まる術後嚢胞という別の病気が発生する事がしばしば認められる。腫瘍の手術では良好な視野が得られる。
ESS(内視鏡下副鼻腔手術)
術式
鼻の穴から手術操作を施行、鼻腔と各副鼻腔の隔壁を開放、病的粘膜のみを除去
特徴
術後の痛みが比較的少ない。顔の腫れはほとんどない。出血が比較的少ない。入院期間が短い(両側で1~3日間)副鼻腔の生理機能が比較的保たれる。術後嚢胞の発生頻度がきわめて少ない。手術操作に高度の技術が要求される。

術前CT
術前CT

術後CT
術後CT

ESS手術後の治療

ほとんどの病気に共通することですが、副鼻腔炎の場合も手術後の経過の観察が重要です。
一般的に副鼻腔炎の治療における重要性は手術が6~7割、術後治療が3~4割と言われています。
術後治療としては痂皮(かさぶた)の除去や貯まっている鼻汁の吸引などの局所の処置や必要に応じてお薬の投与を行います。経過中にポリープの再発が認められた時などには外来で摘出したりすることもありますが、再手術が必要となる率は10%未満です。

おおよその治療の頻度としては術後1ヶ月は週に1度、つぎの1ヶ月は2週に1度、つぎの3ヶ月は月に1度の割で行い、その後は徐々に間隔を開けていきます。最終的に1年以上は経過観察することが望ましいと思います。
勿論、遠方の場合などで通院が困難であればお近くの耳鼻科を紹介して術後治療をお願いします。

手術療法2内視鏡下鼻内整復術

鼻の中には左右の鼻を境する鼻中隔や中甲介、下甲介といった棚状の構造物があります。
これらの構造物は比較的薄い骨や軟骨で形成されており、その周りは粘膜でおおわれています。

ところが鼻中隔が高度に弯曲していたり、本来一枚の板状の骨である中甲介の内部に空洞が形成されていたりすると鼻づまりの原因となったり副鼻腔炎の悪化因子となったりします。また、下甲介骨の形が悪い場合やアレルギー性鼻炎により下甲介粘膜が腫脹している場合も鼻づまりや副鼻腔炎の悪化因子となり得ます。

このような時には内視鏡下に骨構造を改善する手術の適応となりますが、いずれの手術も鼻内で行うため顔に傷がついたり鼻の形が変わったりすることなく、ほとんどが粘膜下の操作であるため出血も多くはありません。
ここで紹介した術式は全て2泊あるいは3泊の短期入院で行っております。

内視鏡下鼻内整復術-A:鼻中隔矯正術

鼻中隔粘膜面に切開を加える
鼻中隔粘膜面に切開を加える

 

湾曲した骨の両側で粘膜を剥離
湾曲した骨の両側で粘膜を剥離

 

湾曲部位の骨を除去
湾曲部位の骨を除去

 

切開部の縫合
切開部の縫合

内視鏡下鼻内整復術-B:粘膜下下甲介骨切除術

下甲介粘膜面に切開を加える
下甲介粘膜面に切開を加える

 

下甲介骨の両側で粘膜を剥離
下甲介骨の両側で粘膜を剥離

 

下甲介骨の一部を除去
下甲介骨の一部を除去

 

切開部の縫合
切開部の縫合

手術療法3拡大前頭洞手術(難治性前頭洞炎に対する手術)

おでこの裏にある前頭洞の炎症は頭痛や眼痛の原因となり得ます。
しかし、この部位の炎症は必ずしも症状が現れないことも多く、鼻腔内にも異常所見が出にくいため見逃されやすい部位でもあり、脳ドッグや頭痛の検査のため脳神経外科を受診して初めて指摘されるケースも少なくありません。 また、前頭洞は周囲を眼や脳などの危険部位に囲まれており、元々鼻腔との交通路も細いために手術的に難易度の高い副鼻腔と言われています。

以前は治りにくい前頭洞の炎症に対してはおでこの皮膚を切開する鼻外手術が中心でしたが、美容上の問題やおでこのしびれ感が残ることがありました。これに対して、現在では内視鏡や骨を削る機器の進歩により多くの前頭洞病変は皮膚を切開しない鼻内手術で治療することができるようになりました。

拡大前頭洞手術

手術療法4涙嚢鼻腔吻合術(鼻涙管閉塞症の手術)

この手術は直接副鼻腔炎とは関係ありませんが、内視鏡下副鼻腔手術の応用で行えるため、ここで紹介します。

涙腺で作られた涙は涙小管から涙嚢を経由して鼻涙管を通って鼻内へ排泄されます。鼻涙管閉塞症ではこの通路が狭くなるために涙が止まらないといった症状が現れます。このような場合、涙嚢を鼻内に開放して涙の抜け道を作るのが涙嚢鼻腔吻合術です。この手術には眼の内側の皮膚を切開して行う方法もありますが、皮膚の傷が気になる時や長く入院できない時には鼻内から行う涙嚢鼻腔吻合術が適している場合があります。これは、内視鏡下に涙嚢周囲の薄い骨を一部削って細いシリコンチューブをしばらくの間挿入しておく方法で、1~2日の短期入院で施行できます。勿論、美容的な問題やチューブ留置による違和感もほとんどありません。

涙嚢鼻腔吻合術

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